犬の”だいごろう”はみっちーを守ります!
昔、わたしが子供だった頃のおはなしです。
小さい頃、家では何かしらの動物を飼っていました。 その中の犬のダイちゃん(正式名:だいごろう)は、みっちー(母)が大・大・大好きだったようです。(だいちゃんが死んでから分かったのですが) だいちゃんは死んだ後もみっちーが好き過ぎて、虹の橋を渡るどころか・・・・・
小さな犬
どういういきさつかは分かりませんが、わたしが幼稚園の頃に子犬がやってきました。 その犬の名は『だいごろう』通称『ダイ』でした。 ダイは片耳が立ち、片耳が寝ている茶色の雄犬です。ダイは猟犬の両親から生まれた犬だったようです。 しかし猟犬の人生とは全く関係のない、田んぼの広がったのどかな場所でダイは生活をすることとなったのです。
ダイの生涯は放任主義の我が家なのでしつけをされることなく(笑)元気に生きました。 最初は物珍しさもあり、わたしも散歩の手伝いをしたり、えさをあげたりして仲良くなっていきました。 今では考えられませんが、田んぼが広がる田舎での散歩とは・・・・・ 人家が遠くなると鎖を外し 『それーーー!!!』と言って、自由に走らせました。(稲を育てているときはやってはいけません) 車も通ることがすくなかったあの時代、何もかもがユルくて、今のような堅苦しいルールと視線がなかった時代だから出来たのでした。
ダイの弟『キュー』
ダイには弟がいました。その名は『キュー』。キューちゃんはわたしの住む家の南側のおうちへもらわれそこで飼われることとなったのです。 ダイもキューもどちらも男の子。 キューは生涯、片足を上げることなくオシッコをしゃがんでしていたので心は乙女だったのかもしれません。(よくわかりませんが・・・)
キューはダイよりも丸いフォルムで大人しかった。 そして何より、ダイが大好き。 我が家のダイちゃんは家の南側の日当たりの良いところに犬小屋を置き、そこで暮らしました。 そして、キューちゃん。 キューも同じく日当たりのよい南側へ置いて過ごすこととなりました。
わずか数日だけ。
何故か・・・・それは、キューが吠え続けたのです。 何をしても落ち着かず、どうしたものかと考えていたがよく分からない。 もしかして・・・ダイが見えないからか? キューをダイのいる方、つまりキューの飼い主のおうちの北側へ移動しました。 ダイの顔が見れたから安心したのか、キューちゃんは大人しくなり、飼い主の家のお日様が当たらない北側がキューちゃんのおうちとなったのでした。 キューの視線の先には必ずダイがいたのです。 恋愛物語みたいです。
イメージ図
ダイ・キュー、お父さんに会う
飼いだしてから何ヶ月か経ったある日、ダイ・キューちゃんのお父さん犬が我が家の近くに散歩しにやってきたことがありました。 さっそうと歩くお父さん犬、我々の住む家の横の道を通りかかりました。 そして、感動の親子の再会。
とは、いきませんでした。 ダイはすっかりお父ちゃんのことを忘れ、吠え続けました(笑) ダイの父ちゃんは全く相手にせず、立ち止まりもせず、さっさと通り過ぎていきました。 離れていてもどこかで通じている・・・とかいうことは一切ありません。 キューはとても大人しい乙女な男の子だったので、ワンワン吠える事は通常でも少なかったですね。 どちらかというと怖がりさんでしたから、父ちゃんワンコが通り過ぎても静かだったのでした。
親子の再会は”あっけない”感じだったのを覚えています。
その日は突然やってくる
我が家に来て、数年たったある春の終わりの日。 いつものように朝、窓を開けて
『ダイ~』
と挨拶をするわたし。しかし、いつもはすでに犬小屋から出て出待ちするダイが出てきていないのです。
『あれ? おかしいな??』
と思い、小屋を見ると、ダイがいない。 小屋の横にダイの鎖をつなぐ鉄の棒があったのですが、鎖が犬小屋の中とは違う、別の方向へ伸びている事に気付きました。 ダイをつなぐ鎖が田んぼの方向に。
理由は分かりませんが、ダイちゃんは田んぼの方へ落ち、既にこの世にはいなかったのです。 あの時、大人達は
『農薬やろうか?』
と話していたことを覚えています。 あの頃、田んぼの稲の病気や虫が付くのを防ぐ消毒がありました。 白い薬を霧状にして稲にかけるのです。 すると農家の人達は稲の被害にあわずに、収穫期には沢山の稲を収穫できるのです。 しかし、今まで大丈夫だったのに、この年に限って『農薬』が原因かどうか。 誰にも分かりません。 事実はダイが死んでしまったという事だけでした。
とても悲しいことではありましたが、みっちーは飼っていた動物が亡くなると必ず
『あんまり泣くと天国へ上がっていかれへんから、な、 そんないつまでも泣いとったらアカン。』といいます。 それは、ペットだけでなく、人間に対してもそうでした。
『ダイちゃんはいつでも見てくれているから大丈夫やで』 その言葉を忘れないでわたしは一生懸命涙をおさえていました。 でも、一番悲しい思いをしたのは、間違いなくみっちーです。 いつもダイのお世話をしていたのはみっちーだったのだから。
その頃、町内で護る墓地の片隅には動物用のお墓がありました。(現在は市の焼却所やペット火葬所でペットを焼却するようになりました) ダイが死んでしまった後、みっちーはダイちゃんを台車に乗せて町内のお墓へ運び、そこへ埋葬しました。 わたしは悲しくて付いてはいけませんでした。。
あっという間にダイちゃんは旅立ってしまったのです。
ダイの事を大好きだったキューちゃんも、しばらくすると旅立ちました。 ダイの死後、急激に元気がなくなり、そして天国へとまさに『後を追う』かのように。
みっちーの護り神
ある日、みっちーとそのお友達が、あるお話会のようなところへ参加しました。 お友達の一人に悩み事があり、そこで相談をするために一緒についていったのです。 そこは、所謂「色んなモノが見える」先生と呼ばれる方がいらっしゃる、有名なところでした。 そこで、その先生と呼ばれている人が
『あなた・・・』
と、みっちーに話かけてきたのです。
心配で離れられない
その先生と呼ばれる方からは
『実はね、お母さん、事故の相が出ているのですが 最近危ない事ありませんでしたか?』
と、聞かれ、みっちーはハッキリと ”あの時“が蘇ったようです。 それは、原付バイクに乗るみっちーと車の衝突しそうになった未遂事故。本当に危機一髪で、家族に言えなかったそうです。 そして、もう一つが、背中と肩が、ある時期から急激に重くなり、仰向けで眠れなくなったこと。 そして、先生は
『死んだペットも人間も、ちゃんと帰るところがあります。 そのワンちゃんもそこへ帰りたいキモチもあるけれど、”危険に合うかもしれないから”と、お母さんが心配で、どうしても帰れないようなんです』
『・・・・・・・・・・・』
『心の中でいいし、そのワンちゃんのお墓に行っても良いです。 ”帰る場所へ帰っていいよ” というような事を伝えてあげてください』
早速、みっちーともう一人のお友達(キューの飼い主)は家に帰り、すぐにお墓へ行きました。 ダイが眠っているだろうところにすわり、ダイちゃんへ『ありがとう、もう心配しなくても大丈夫だから天国へ行って思いっきり遊んでね』 と背中のダイに話しかけました。 そしてみっちーはその後 バタン! とひっくり返ったそうです。(キューの飼い主のおばちゃんから、後に証言いただきましたのでその通りだったようです)
急に背中の重りが取れたような感覚だった、と。 本人が一番驚き、今もはっきりと同じように
ホントにびっくりしたわ~
でもよかった。 ちゃんと帰るところへ帰らなアカンのよ
とふり返ります。 背中に乗っていたダイちゃんに心が伝わり、ダイちゃんはすぐに背中から降り、帰る場所へスパーンと帰った、かのようでした。
ダイもようやく虹を橋を渡ったのでしょう。
こういう話は信じる人と信じない人がいます。 そしてこの世には科学では説明・証明できない色んな不思議話があります。 実際に体験しないと信じられないし、体験していても「偶然」で片付ける場合もあると思います。 だから分からない。 しかし、みっちーの心は宇宙よりも広い、まさに「愛」の塊のような人です。 なので、そういうこともあるかもしれない、と妙に納得するのです。
あれからもう40年以上の時が経過しました。 ダイちゃんのおはなしはこれでおしまい。
✨どうもありがとうございます✨